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山の記録 Activity Report

錫杖岳「注文の多い料理店」

2018年10月26日(金)

2018年10月26日(金)〜28日(日)
 紅葉真っ盛りの錫杖岳前衛壁で、「注文の多い料理店」(5.9、5ピッチ)を登ってきた。雪化粧の始まった穂高岳を背にして、ジャミングやレイバックを交えて登る豪快なワイドクラックが印象的なルート。3日間山に入り、晴天を待ちながら、このルートを落とすことだけを考えていたので、3日目に最終ピッチを登り切ったときには、大きな達成感があった。頼れるクライミングパートナーに感謝! 参加者2名(E.O. & D.H.)

10月26日(金)
 初日は7時に京都の竹田駅を出発し、12時に中尾高原口の駐車場に到着。荷物を担いで紅葉の美しい登山道に入り、1回の徒渉を経て、14時半に錫杖岩舎に到着。錫杖沢出合から岩舎までは樹林帯を通っても行けるが、我々は沢を詰めた。錫杖岩舎まで荷物を上げるのが一苦労だが、岩舎では雨も凌げるし、何と言っても穂高岳を望む眺望が素晴らしい。注文の多い料理店、左方カンテ、1ルンゼ、Little Wingなどを偵察したが、注文ルートはなんとか登れそうな予感がした。

登山口の鮮やかな紅葉

登山口の鮮やかな紅葉

徒渉ポイント(水量は少なく、飛び石を辿って通過)

徒渉ポイント(水量は少なく、飛び石を辿って通過)

クリア谷から錫杖沢への分岐点

クリア谷から錫杖沢への分岐点

錫杖岳前衛壁

錫杖岳前衛壁

錫杖岩舎で幕営

錫杖岩舎で幕営

10月27日(土)
 前夜から午前中にかけて雨が降ったので、昼から岩が乾くことを願いつつ、テントの中でトポを眺めながら想像を膨らませる。昼過ぎに岩場に行くが、注文の多い料理店は濡れていて取り付ける状態ではなかったので、日当たりの良い左方カンテを3ピッチだけ登って終了。明日が勝負。

10月28日(日)
 待ちに待った晴天。7時に岩場に着いて一番乗りかと思ったが、既に先行パーティーが取り付いたところだった。登攀準備をしながら順番を待っていると後続パーティーが到着し、本日の注文ルートは3組のご来店。

朝日を浴びる錫杖岳前衛壁

朝日を浴びる錫杖岳前衛壁

 8時に登攀開始。岩は随分乾いていたが、それでも1ピッチ目(IV)は濡れている箇所が多く、プロテクションを取りにくいピッチだけに、少し怖さがあった。

1ピッチ目(IV)

1ピッチ目(IV)

 2ピッチ目(V+)はクラック沿いを左上するルート。ここから岩は乾いていたが、まだ体が温まっていなかったためか、若干悪く感じた。
 3ピッチ目(5.9)は注文ルートの核心。出だしのハングは、キャメロット4番を使い、フィストジャムをきめながら細かいフットホールドを拾って攻略。ハングを超えた後は豪快なワイドクラックで、まさに爽快!このピッチのためにキャメロット4番と5番を2つずつ持っていったが、結局、5番は1つしか使わなかった。

3ピッチ目(5.9)の出だし

3ピッチ目(5.9)の出だし

3ピッチ目のハングを越えた後

3ピッチ目のハングを越えた後

 4ピッチ目(V+)は快適なワイドクラック。クラックを登り切ってから右にトラバースするところが、ムーブを間違えると怖いようだが、我々は難なくクリア。

4ピッチ目(V+)

4ピッチ目(V+)

 5ピッチ目(V+)はハンドとフィンガーのダブルクラックの後、草付きフェースを経て、スラブを登って終了。難しいムーブはないが、スラブに移るところから随分ランアウトする。フォローで登ってきたパートナーと握手し、少しばかり感慨に浸る。5ピッチ目を登り切ったのが13時で、取り付きから計5時間なので、標準的なスピードか。

5ピッチ目(V+)

5ピッチ目(V+)

 この上にも左方カンテと共通の6ピッチ目(IV)があるのだが、時間がなくなってきていたので、今回は割愛。50mのダブルロープで3回懸垂下降し、14時半に取り付きに戻って登攀終了。

懸垂下降中

懸垂下降中

 テントを片付けて下山を開始したのが16時と遅かったため、徒渉ポイントを超えたあたりから真っ暗になっていた。18時に中尾高原口駐車場に戻り、23時に帰京。充実感に満たされる、素晴らしい山行だった。(D.H.記)

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